CAとツールについて

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本記事はブロマガに投稿した記事を移行したものです。
体裁は整えましたが、内容については手を加えずにそのままにしています。
元のブロマガについた当時のコメントも一緒に移しています。


※この記事はツール紹介記事ではありません。また動画CAについてが主です。
 生放送のCAツールが目的の方には得るものはないと思いますので、
ブラウザの戻るを推奨します。

google検索で「コメントアート」と入力すると予想検索候補として、一番上に「コメントアート ツール」と出てくるように、恐らく大多数の人にとってCAツールは一番の関心事なのではないかと思います。
後でも見ますが歴史的に、動画CA界隈ではツール利用にあまり肯定的でない人が多数だったためツールについて書かれた文章はあまりありません(極端にいうとタブーとされていました)。

現在では少し状況も変わっていることと、HTML5プレーヤーへの移行時期ということで今回はCAツールについてまとめてみたいと思います。

CAのツールには大きく分けて3つあります。
『製作ツール』『コメント投稿補助ツール』『突破ツール』です。
今回のブロマガではこれらを順々に紹介していきます。

 

『製作ツール』

その名の通りCA製作に用いるツールです。
文字が表示され、ユニコードが保持されていれば基本的に何でも用いられます。
大多数はメモ帳ですがEmeditorも代表的で、その他にwordやExcelなんかも使われます。
時々勘違いされますが、絵であってもCAにはAAのような自動生成ツールは存在しません。

また、コメント表示をローカルで完璧に表示するツールが存在しないため、最終的にはニコニコ動画上で製作をすることになります。このため、CAを製作する場合は投稿者コメント編集ページでほとんどの時間を費やすのが普通です。
ニコニコができてからもう10年以上経っていますが、ちまちまと微調整を繰り返す作業は今も変わっていません。しかし、現在は作業を効率化するニコスクリプトも公開されており、作業の負担は従来より大きく減りました。

 しゃるさんさん作成の補助スクリプト
 http://ch.nicovideo.jp/shr/blomaga/ar141690

このようにコメント機能のめんどくさい仕様のためローカルでの特別なツールというものが存在しないため、CA製作においては投稿者コメント編集ページ(特にエディタ)を使いこなせるかで作業効率が大きく変わってきます。

ツールがそもそも存在しないため、『製作ツール』においては後々述べる『投稿補助ツール』や『突破ツール』のような使用の是非をめぐる議論というのは存在しませんでした。

 

『コメント投稿補助ツール』

改行の省略など、コメントを補助するツールです。
後に出てくる『突破ツール』との大きな違いはコメント投稿欄を介してコメントを投稿するかどうかです(細かいようですがここが重要なポイントとなります)。

コメント補助ツールは大きく分けると改行省略やコマンド省略などのコメント入力について補助するものと、時間操作を補助するものの2つがあります。
入力補助ツールとしては、例えば一番代表的なGRNさん製作の「ニコニコ動画補助スクリプト」があります(現行バージョン対応版も公開中)。

 GRNさん製作 ニコニコ動画補助スクリプト
 http://nicogs.net/(chrome版:https://t.co/k7vpfiAl9n)
詳しい使い方などはGRNさんのHP(http://guron.net/)を参照ください

また時間操作補助ツールとしては、例えば一番代表的なEnderさん製作の「CAゲージ」があります。(4:3時代に作られましたが現在でもほとんど問題なく使用できます)

 Enderさん製作 CAゲージ
 http://www.nicovideo.jp/watch/sm9732612
投稿者説明文にダウンロードページがあります。

CAゲージは直接的に時間指定を行うことはできませんが、過去にはvpos(再生時間)を指定して動画を止めるようなのもありました(今も探せばあるかも?)

改行補助やvpos指定なんかについては昔から使用の是非にはいろいろと議論がありました。今回のブロマガではこれを「コメント」と「CA」の二つの観点から考察していきます。(この2つの観点については以前のブロマガに詳しくあります)

まず前提としてこれらの補助ツールは使用如何によって最終的な出来栄えに違いがでるものではありません。例えとしてはExcelを使って表計算をするかそれとも手計算をするかとほとんど同じようなものです。
むしろツールを使った方がミスをすることが少なくなることを考えると、「コメント」の観点から極端なことを言えばあえてツールを使わないという所為は動画に対しての背徳に映るかもしれません。そうでなくても「コメント」を楽しむのであれば、出来栄えに関わらない部分をあえて自動化しないというのは全くの無駄な行為です。

一方で「CA」の観点から見ればツールを使わずに改行などでミスせず投下できるというような投下技術は評価の対象であり、おもしろさのひとつになります。特に初期の頃はCAの制作の困難さも相まって、投下技術の巧拙はCAの技術を競う上での重要な評価対象でありました。
そして、そういった技術を競う上ではルールの存在と、そのルールを全員が守るということが非常に重要になります。そのため本来であれば両方の考えが存在していいはずだったのが、コメント界隈では補助ツールを使わないのが普通である(「CA」の価値観の優性)となっていました。

ただ、内部のこういった事情以外にも特に初期の頃は外部環境からの影響も大きくあったということは付け加えておく必要があります。初期はbig16行ですら負荷が高く重かったので、そのようなコメントを連投できるツールを広く公にすることの懸念と、CAに対しての風当たりが強かったのでツールの使用が批判の材料になりかねないという懸念の2つがありました。

実際のところは補助ツールは次の『突破ツール』に比べると使用の有無を公にされないというだけでツール不使用の空気は格段と緩く、補助ツールを使っている人も多くいました。
また、このような投下の難易に関する障壁というか制限は「コピペ」の話にもつながってくるわけですが、このことについてはまた別のブロマガで詳しく触れる予定です。

『突破ツール』

75文字を超えて最大1024文字の投稿を可能にするツールです。
生放送では利用が盛んですが、一方で動画の方ではほとんど利用されません。
これは前項の『補助ツール』と異なり、動画CA全体の雰囲気として利用の原則禁止が推奨とされているためです。

突破ツールについては実は私自身使ったことがないため、代表的なツールなどの詳細に関してはよくわかりません・・・・

突破ツールの使用是非のときによく「サーバーに負荷をかける=利用規約に反しているから」という理由が反対理由として挙げられます。しかし何百何十のコメントを一斉に送信するわけでもありませんし、事実生放送でも黙認されているように負荷に関しては恐らく問題ありません。そしてこのことから利用規約違反になっていません。というかそもそも規約違反に関しては、JASRAC協定以前から普通に歌詞が書かれていたり、版権もののキャラCAが貼られていたりした(著作権違反=規約違反をしていた)ことからみても、みんながみんな重要視しているとはとても思えません。

突破ツールが補助ツールと大きく異なる点は、1つは運営が決めたルール(文字数制限)を破っているということと、もう1つはツールの使用如何で出来栄えが異なる可能性があることです。

あえて可能性としているのは、75文字制限が1024文字制限に変わったからといって単純に
表現の幅も15倍されるわけではないからです。というのもコメント機能はリサイズというものが存在するので、文字数制限よりも圧倒的に時間制限(3秒ルール)やue, shitaレイヤーの制限のほうが厳しく、文字制限が緩和されてもせいぜいが100が110になるくらいでしょう(現在はenderや新プレの仕様変更により若干状況が変わっています)。しかし一部例外があり、いわゆる絵系は1024文字に緩和されるとできるものが増えます。
歌詞や装飾に関しては字数緩和による見た目の表現そのものの大きな向上はないのですが、字数緩和によって省コメにつながる可能性があります。これは「コメント」から見ると大きなメリットとなるわけですが、それでも、突発ツールに関しても補助ツールと同様、ルール違反(特に運営が決めたルールの違反)となるため原則禁止が通例でした。

見た目が変わらず、運営が決めたルールには則っている補助ツールならまだしも、突破ツールは運営のルールを破り、かつ出来栄えそのものに影響を及ぼしかねないため、公正な競争のためには突破ツールの使用禁止は絶対で、突破しているCAはCAどころかコメントですらないといわんばかりの徹底でした。
また突破ツールを使用したものが、上述のような省コメを目的とした75文字(or60文字)+αの使用ではなく、1024文字をフルに使うような非常に重いものが多く、これが突破ツールの印象を悪くし、使用を控えるような流れに拍車をかけたことも考えられます。

ここまで見てきたように、動画CA界隈でツール利用が否定されてきた背景の一番の理由は、厳正な競争をする上で、ルールの策定とそれを全員に遵守させることの必要性があったからです。補助ツールと突破ツールとでその守るべき対象のルールの策定者が身内か公式かで異なりますが、事の本質はほとんど同じです。こうしたルールの策定がCA文化を養成するに大きく寄与したのは間違いありませんが、CA文化だけではなくコメント文化全体で考えたとき、はたしてこのような発展過程は本当に正しかったのかどうかということは今一度振り返るべきだと思います。

 

現在は以前と比べ環境も大きく変わりました。
enderコマンドの実装によって突破による省コメの有用性は以前に比べ大きく上がっています。6コメ積み上げで構成していたものを突破によって1コメにまとめる例があったとして、果たしてそれを全くの悪と断じていいのかどうか。
また昔に比べNG設定周りの大幅な強化がありました。今までと同じように自主規制を行うのか、それともNG共有や投稿者によるNGユーザーのような淘汰に任せるべきなのかどうか。
組曲のような特殊な雰囲気を持つ動画と他の動画を一緒の土俵に上げて議論してもいいのかどうか。

 

以前のブロマガでも触れましたが「コメントのおもしろさ」と「CAのおもしろさ」というのは相反するものであるけれども、その2つがあってこそCAが奥深いものとなるので、ほとんどの人はそのどちらも持ち合わせ楽しむのが普通です。しかしツールの場合はどっちつかずというわけにはいかなかったため、「CA」が「コメント」を大きく制限してきました。
HTML5プレーヤーに切り替わり、改行方法や連結表示について仕様変更が行われました。運営の手によるルールの改定(事実上の規制緩和)が行われたことも考慮しつつ、ツール利用については個々人で今一度考えてみてほしいと思います。

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