環境の変化で見るCAの変遷 その3(enderコマンド実装~現在まで)

NO IMAGE

本記事はブロマガに投稿した記事を移行したものです。
体裁は整えましたが、内容については手を加えずにそのままにしています。
元のブロマガについた当時のコメントも一緒に移しています。


いよいよ本題でもあります、ender実装以後の環境変化になります。

スパン5 ender実装~現在まで

2013年6月突如実装された「ender」コマンドは原宿以来、実に約3年ぶりにCAの表現の自由度を広げるものでした。また、その影響力も過去に比類のないものであるためここからCA新時代に突入します。
原宿以来環境の変動が激しくなりましたが、その中でもこの時代は非常に慌ただしいです。

【enderコマンド】

CAの革命児。『改行リサイズを適用しない』コマンドです。
2013年の6月末に突如としてツイッターで実装が告知されました。開発者ブログにもとりあげられないような非常に小ぢんまりとした実装だったのですが、その実CAにおいては非常に重要なアップデートです

以前にもブロマガで少し書きましたが、enderコマンドでどんないいことがあるのかというと
・様々な大きさのコメントが固定可能になった
・二重リサイズがほとんど必要なくなった
・Qwatchの中大両画面対応CAが非常に作りやすくなった
にプラスして
・高さ調節用のスペーサーをあまり使わなくてもよくなった
の4点なんですが、実際に効果を箇条書きで列挙するだけだといまいちピンとこないかもしれません。

enderコマンドの威力を実感する一番の実例は、smallとmediumがbig16行と同じように使用できるようになったということです(ender small21行とender medium13行)。サービス開始以来、最重要技術のポストを占め続けてきた16行にバリエーションが生まれました。そしてその付随効果としてnakaコメ(流し)の表現が格段に上昇しました。
それだけでも十二分に革新的なわけですが、さらにenderコマンドは重要技術の一つである二重リサイズ固定(ダブルリサイズ固定、DR固定)の唯一の欠点にしてボトルネックであった負荷への懸念を解消することになります。

こんな風に高さ固定コメントに関して大変革を起こしたenderなわけですが、非固定コメントに関しても同様に変革をもたらします。
それまでは非固定積み上げ式のコメントは、高さに関して非常に自由度が高いものの、ほとんどの場面で高さ調節用のスペーサーが必要(余分なコメントが必ずいる)だったためどうしてもコメント数が大きくなるのがネックでした。しかし、enderコマンドを使えばそれらを減らす、もしくは全く無くすことすらできます。
またその副次効果として大中画面の両画面対応が格段にやりやすくなりました。

そういったわけで、enderコマンドは非常に重要なコマンドで、特に環境互換を目指すうえでは重要な鍵となると思います。

 

【Qwatch第二次アップデート(GINZAwatch)】

2013年7月末に行われた大規模アップデート。
以後1年半以上(2015年3月現在)現役プレーヤとなります。
詳しくは大百科(http://dic.nicovideo.jp/a/qwatch)

この実装で一番の出来事は、Zeroより問題となっていたプレーヤーの負荷が大幅に解消されたことです。
他にもレイアウト等々が改良され、Zero実装より一年半後にしてようやく実用に耐えうるようなプレーヤーとなりました。

CAにとってはender同様非常にうれしいアップデートとなりました。

【windows8】

本来なら前回に含めるべき項目だったんですが、入れ忘れたので少し時系列が変わってしまいますがここで紹介します。

正直なところ自分自身がwin8を持っていないということもあって、そこまで詳しくはないのですが、今のところvistaや7のときのような致命的な問題は報告されていません。
主要空白文字やフォント変化に関しては7とほとんど変わっておらず、特殊記号(特に装飾記号)の表示が少し異なるようです。具体的には一部記号の単体表示(全角隣接なし)とフォント変化時の表示が7と異なります。しかし、以前より単体表示はvista以前で豆腐(□)化され、フォント変化についてもxp以前はゴシック以外で豆腐化がよく見られていたため基本ゴシック推奨であったので、今までどおりの使い方で特に大きな問題はないと思います。

何か訂正や補足等あればコメント欄にお願いします。

【11/6アップデート(画面互換調整)】

名前のとおり、2013年11月6日に行われた大画面互換調整のアップデート。
名前は少し地味ですが、画面互換を目指す上では非常に重要なアップデートです。

この実装前までは、私がブロマガで紹介したような臨界幅を使って無理やり調整するのが主な互換技術でした(というかそれしかほとんど方法がなかった)。
しかし、この実装により臨界幅を使わなくて互換ができ、かつ大画面以外の他の画面サイズにも互換性が高いようなCAをつくることができるようになりました。これによって、技術の裾野が広がり様々な互換CAをつくることもできるようになりました。

具体的な内容としては
・高さ固定コメントの画面互換性向上
・shitaコメントの画面互換性向上
・非fullコメントの臨界幅リサイズの中大画面拡大比率の調整
の3点です。上2つは非常に重要ですが、特に2番目は意識的に用いることで大きな効果を発揮するので、画面互換を目指すうえでは是非とも押さえておきたい内容です。

高さ固定コメントの画面互換性向上』
中画面の高さ固定コメントは、他の画面でも同じように固定されるようになりました。
例えば16行であれば中画面では固定誤差2~3px(2~3px上下に動く)ですが、大画面では上に詰められて表示されますが、その固定誤差はそのままです。つまり大画面では16行は隙間が大きいですが動く範囲は2~3pxで固定されています。
また、これはshita,ue,naka全てに適用されます。
百聞は一見にしかずなので、可能であれば試してみてください。(特にsmall38行が効果を実感できると思います)

shitaコメントの画面互換性向上』
コメントの黄枠上端がどの画面サイズでも一致するようになりました(この影響で固定コメントが上に寄せられています)。
例えば中→大で画面サイズの拡大比率よりも、コメントのサイズの拡大比率が小さいコメントをshitaで積み上げると大画面ではコメント同士に隙間が空いて表示されます(逆だと黄枠にめりこむ)

この実装により、重ねあわせなどに必要な高さ互換が非常にやりやすくなりました。しかしshitaとue(もしくはnaka)で仕様が異なるためコマンドを使い分けるのに慣れが必要なのと、積み上げ操作をする場合はshitaだと思わぬ挙動をすることがある(予期せぬ押しだし)ため注意が必要です。

このアップデートは本当にすばらしくて、画面互換が劇的にやりやすくなりました。
文字の説明だけでは非常にわかりにくいのでまたブロマガを書こうと思います。(すでに実装から1年以上経っていますが。。)

【原宿プレーヤー廃止(GINZAwatchに環境統一)】

2013年12月3日に原宿プレーヤーが役目を終えました。
これにより約1年半続いた二重プレーヤー状態がようやく解消されました。
ハード面ではそこまで影響はありませんでしたが、原宿をメインに使っていた人にとってはGINZAに慣れるのには結構苦労したと思います。
ちなみにQwatch→GINZAwatchではウォール機能が実装されただけでコメント周りは一切変わっていません。

原宿廃止により全ての動画が16:9に統一されたため、4:3を想定して作成されたようなCAの一部が意図とは違った表示に固定されるようになってしまいました。
一方で4:3動画の左右の黒帯が使えるようになったため、少しだけですが表現の幅が広がりました。

こうして混迷を極めたZeroプレーヤー登場から1年半後、ようやく新プレーヤーとしてひとまずは落ち着くこととなります。

【betaの登場】

2月6日に突如実装告知がなされたbeta。
(開発ブログ『コメントアートが中画面以外のサイズでも再現しやすくなりました!』
http://blog.nicovideo.jp/2014/02/post_266.php)
11/7アップデートが”第一弾”と付則されていたため、近いうちに第二弾がくるのかなと予測はしていましたが、まさかこんなに気合の入った実装がくるとは思いもよりませんでした。

betaに関してはいろいろと悶着がありましましたが、結果から言うと本実装では画面互換性に関しては以前とほとんど変わっていません。(改行リサイズの互換性が多少向上しましたが…)
当初告知された実装はコメント描写を抜本的に変えるような意欲的な内容でしたが、後述するようないくつかの不都合が重なった結果、あってもなくても大して変わらないような内容となってしまいました。

内容を詳しく見ていくと、それだけで記事ひとつは余裕でかけてしまうため、ここでは重要なポイントだけ明記します。前述しましたが、結局本実装されることはなかったので特に興味がなければ読み飛ばしても大丈夫です。

まずbetaのすばらしかった点ですが、それはずばり
『betaプレーヤー上ではほとんど完全な画面互換が達成されていた』ことです。
 中画面大画面の互換のみならず全画面など他の画面サイズでもほぼ同じようにコメント描写がされていました。夢に見ていたことが実現されていたわけです。この点はbeta版は非常にすばらしく、評価されるべきだと思います。

が・・・しかしその画面互換性の代償に多くの不都合がありました。
まず一つ目が『コメント描写が非常に重い』ことです。
超化けは当たり前として、コメント負荷が非常に大きくなっていました。中画面以外の画面サイズだと特に重く、CA以前にパソコンによっては一般コメの描写すら覚束ないような状態でした。
そして二つ目が『コメントの高さ計算の仕様が異なる』ことです。
具体的な例としては、臨界幅リサイズの使用感が大きく違います。現行プレーヤーは臨界幅は不連続にリサイズを繰り返します(リサイズ→再びプレーヤーの端に到達→リサイズ)が、betaの場合は連続的にリサイズをします(幅に合わせて高さをプレーヤー側で算出)。
これで実際に何が問題なのかというと、現行プレーヤーの中画面≠beta中画面であるため現行プレーヤーのCAがbetaでは正しく表示されません。しかし一方で9行以上の全てでpxの誤差なしに完全に固定できるというメリットもありました。
また、その影響として3つ目『黄枠付きコメントの挙動がおかしい』ことも製作面では大きな問題でした。
betaでは2,3個以上の黄枠コメントを表示しようとすると表示の度に描写が変わります(描写が安定しない)。そのため実際問題としてbeta版でのCAの製作は非常に難しいに近い状況でした。
そして最後4つ目は『中画面以外のコメント描写が安定しない』ことです。
具体的には固定コメントがtabスペースを入れたときのような挙動をします(左右に荒ぶる)。これは臨界幅リサイズをしていないような普通のコメントにも全て見られる現象だったため、視聴する上では非常に問題でした。

画面互換性はすばらしかったものの以上のような欠点があったために、結果として本実装は見送られることとなりました。個人的には重さと荒ぶりさえなければ文句なしだっただけに非常に惜しい試みでした。
あれからもう一年になりますが、第三弾はまだ来ていません。このままフェードアウトしてしまうのでしょうか…

【chromeバージョンアップ】

betaの対応に追われている最中にやってくる悪魔。
CAをやっていて一番愕然とした日は間違いなくこの日(2月20日)です。
前回の記事でchrome互換の問題点を紹介しましたが、実は2014年2月時点では空白文字と特殊記号に関しては汎用的な解決策が見出されてました(フォント変化に関してもある程度)。
が、しかしこのアップデートでそのほば全てが無効となり実質的にスタートラインに逆戻りとなってしまいました。
もちろん過去に作成したものも全て互換性がなくなり目も当てられない状況でした。

ちなみに今のchrome対策の現状はどうなっているかというと、フォント変化、空白文字に関しては有効な手段が確立しつつありますが、特殊記号については解決の糸口も見えないような状況です。
おのれchrome…!!!

【XPサービス終了】

2014年4月をもちましてXPが一応はその役目を終えることとなりました。
XP終了はCAにとって非常に朗報でした。

特に恩恵を受けたのがフォント変化関係で、XP終了でまず使えるフォントが一つ増えました(MingLiu)。そしてフォント変化ルールが大幅に簡単になったため、特に丸文字が非常に使いやすくなりました。最大の敵chromeの問題は
ありますが・・・

またchrome対策への有力な空白(通称Arial2001)が使えるようになったため、chrome互換について大きく前進することができました。

ただ、サービス終了とはいっても未だにXPを使い続けているユーザーも一定数いることは確実であるため、CAを投下する上でXPユーザーを無視してもいいのかどうかというのは意見の分かれるところだと思います。
特にArial2001を使用する場合はリスクが大きいので、状況に応じてXPを無視するかどうかの判断をしていくのがいいかなと個人的には思っています。

●まとめ 
長々と環境変遷を見てきて、『それで結局今はどういう環境なの?』ということですが、率直に言うと現環境はCAにとって非常に厳しい環境と言わざるをえません。

元来よりCA投下の原則として『空気を読むこと』が最も尊ばれていました。
CAにとって『空気を読むこと』というのは動画にマッチしたCAを目指すのは当然として、動画投稿者の意図やコメントの雰囲気、視聴者層、そして投下後のアフターケアも含めたコメント流速の管理もろもろといった非常に幅広いとうかハードルが高いことを目指しており、最終的に動画の映像のみならずコメント欄も含めた動画全体と馴染むことを目的とします。
もちろんCA作者は神なんかじゃありませんからそれら全てを満足に満たすことは不可能なわけですが、それでもこういう風にしとけばとりあえずは問題がないといような最低限のお約束みたいなものがありました。(環境対応など)
しかし今まで見たきたように視聴環境の多様化、ニコニコ自体の仕様変更のせいでそのお約束すら守れなくなってきたのが現状です。
つまり、とりあえずの正解というものがなくなり、CA作者自身の裁量で全ての意思決定をせざるを得ず、『空気を読むこと』のハードルが格段に高くなっています。(ニコニコ全体のコメントの雰囲気も相乗効果になっていますが)

そういった環境で個人的に一番重要なのは
『視聴環境の多様化の中でNG共有のリスクを背負えるかどうか』
だと感じています。NG共有による厳しい査定(最低2人のNGで退場)の中でどう舵取りをするか(多環境の中でどう折り合いをつけるのか)が現環境で一番頭の痛い問題です。

まぁそうはいっても私自身コメント機能が好きで、相変わらずコメント投稿をしているわけなので結局のところ一番重要なのは本人がコメントしたいかどうかかなーとも思っています。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

仕様の面からCAの歴史を見ましたが、もちろんこれだけではCAの一部しか紹介できていません。
今後はコミュニティやニコニコとの関わり、またコメント機能そのものにもスポットを当ててCAについて掘り下げていけたらと思っています。
ではでは~

最後の最後に現環境での重要なポイントを3点だけ
○enderコマンドの有効利用
この記事でも触れていますが、enderコマンドは非常に革新的なコマンドで、enderを使えるようになるだけで表現がググッと広がります。多環境対応に対してもenderは非常に有効な手段ですので、現環境ではenderコマンドが最重要のキーだと思います。
まだ試したことがない方はぜひぜひ使ってみてください。

○多環境対応に対する姿勢
11/6アップデートである程度どの環境でも強いCAを作れるようにはなりましたが、現環境では非常に多くなった視聴環境すべてに対応することは不可能です。そのため、自分がどういった目的(意図)でCAを作成するのか(もちろん状況によって様々だと思いますが)に合わせて、どの環境に対応するのを目標とするのか、または完全対応を捨てある程度崩壊しないようにするのを目指すのかというような取捨選択が重要になると思います。
もちろんより多くの環境に対応するのがベストですが、技術的にも非常に困難でありますのでイタズラに多環境対応を目指すのではなく、次善の策として意図を持っての対応がいいのではないかと思います。
環境対応の最重要課題はchromeなので、今後はどう向き合うかが非常に大切になるかと思います。

○ニコニコの仕様
NG共有機能とコメント保持数は少し煩雑ですが是非理解しておきたい項目です。
コメント保持数は『patiser』コマンドを入れるのか入れないのかでガラッと変わってしまうので、CAの種類(コメント数)や動画(長さやコメント状況)によって慎重に使用の有無を検討することが重要になるだろうと思います。
NG共有の仕様はCAにとっては非常に厳しいものであり、重要事項として
・最低2人のNGでNGスコアが”中”を越えること
(思った以上にあっさりとスコアがたまってしまう)
・動画別ユーザースコアは一生回復することはないこと
(今後その動画に保守はおろか普通のコメントすらまともに打てなくなる可能性がある)
は覚えておいてください。
また、現在のプレーヤーであるGINZAwatch(Qwatch)は歴代のニコニコプレーヤー同様癖が強い(もしかしなくても歴代最強)ので、プレーヤーについてもある程度の慣れなれないと思わぬ落とし穴に引っかかるかもしれません。プレーヤー関係のバグ(仕様?)についてはまた別途でまとめ記事を書こうと思ってるのでもしよければ参考にしてみてください。

CAコラムカテゴリの最新記事

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。