環境の変化でみるCAの変遷 その1(サービス開始から原宿プレーヤーまで)

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本記事はブロマガに投稿した記事を移行したものです。
体裁は整えましたが、内容については手を加えずにそのままにしています。
元のブロマガについた当時のコメントも一緒に移しています。


おそらく今までほとんど語られることがなかったCA(コメントアート)の歴史について今回は記事を書きます。
本当はどういう風に進化してきたか~とかの方が分かりやすいと思うんですが、もともとつくり手も少ないというのと、CAの範囲が広すぎて収集がつかなくなりますので、今回は環境変化のみに的を絞りました。
具体的には視聴環境の変化(OSやブラウザなど)とニコニコのプレイヤー更新や機能追加などなどによってCAがどういう風に変わっていったのかを取り上げていきます。
ただ自分がCAを始めたのが2008年の初め頃だったためそれ以前のことは詳しくないので、そこはご了承ください;;

昔はCAやってたけど今はやってないって方も、復帰の機会になればと(おっ
技術関係のことにも少し触れていて、細々とした用語とか使ってるので、もし分からない用語などあればこちらのコメントアートwiki(http://www37.atwiki.jp/commentart/)を参考にしてください。

~ 環境の変化でみるCAの変遷 その1 ~

スパン1 サービス開始~カラーコード導入まで

いわゆる黎明期といわれる時期です。
CAの基礎技術が生まれ、CAが数多く貼られるような定番動画が出現し、そのような動画を基にコミュニティが形成され、CA技術の普及・発展がなされていきます。
そのためこの時期は各コミュニティ(動画)毎に作風や独特の風潮が特に顕著で、コミュニティ間は別物と互いに認識して活動していたと思います。今でもCAのジャンル分けをするときに絵・装飾・歌詞と分けることが多いですが、恐らくはこの流れです(多分)
CAやそれを投下する側の立ち位置が定まるまでに時間を要したため、CAに対する風当たりも強かった時代でした。

基本認識としてほしいのは、CAの基礎技術のほとんどはこの時代にすでに確立されているということです。(もちろんそれらが普及、実際に投入されるまでにはタイムラグがありますが)
技術を使っての表現がニコニコのアップデートにより自由度が広がり、逆に環境の変化によって自由度が狭められていくのがCAのだいたいの流れです。
ただ勘違いしてほしくないんですが、技術は同じものをこの時代から使っていますが、それを使ったコメントによる表現は過去の積み重ねもあるため時代が経つことに進化・発展してきました。
そのときそのときでCAが置かれている環境が違うので、過去のマイメモを見るときはそれがどんな時代だったのかを鑑みてみると新しい楽しみがあるかもしれません。

【Windows XP と Vista (それとw2k)】

この時代の主要環境(対応しているのが望ましいとされる環境)としては主にこの2つが考えられていました。
他にもmacがありましたが、macはひらがなカタカナの幅が違うことや、そもそもコメントの高さ自体がwindowsと違うこともあって非常に対応が難しく、そのためmac対応は諦めるのが普通でした。(もちろん対応を目指す方もいました)
現在のmacの扱いもだいたい同じです。

XPとVistaの主な相違点は
・フォント変化ルールが違う
・特殊記号の挙動が異なる
・主要空白文字のU+2000系の挙動が異なる
の3点です(他にも細々としたものもありますが)。今後の環境変化でもこの3点が悩みの種となっていきます・・・。
特にこの時代で問題だったのは【フォント変化ルールが違う】点で、フォント変化(明朝化・丸文字化)を使うと必ず躓く壁でした。
一つの環境だと気づきようがなく、コメントアートwikiが登場するまでのバイブルであったニコニコ動画まとめwiki(http://nicowiki.com/)にも一応記述がありましたが、まぁ普通は気が付かないよね。。。という具合でした。

他の環境では見え方が異なるというのがCAにおける重要な認識として根付いていきますがこの時点では2つの環境さえ考えればよかったため、今から思うと気楽といえば気楽でした。

【ニコニコプレーヤーver.2(旧プレーヤー)】

CA環境を考えるうえでOSなどのPC環境と同様避けては通れないのがニコニコプレーヤーです。
今後バージョンが変わっていきますが、コメント投稿機能だけをみれば旧プレーヤーが一番安定していました。 非常に信頼できるプレーヤーで、今のプレーヤーのように動画とコメントが再生毎に同期がズレたり、停止で動画やコメントが滑ったりなんかはせず、ましてやホントは表示されるはずのコメントが描写されていなかったりなんてことはありませんでした。
現在は時間調整が重要なコメント(連結など)をするときはスペーサー利用等々の技術がほぼ必須ですが、旧プレはコメントの同期の信頼度が高いので、ある程度の精度であれば連結なんかも目押しで簡単にすることができました。

ここに通えばとりあえずいろいろなCAを見られるというような定番動画が多くあり、多くのコメント中毒者を生み出した時代でした。
コメント自体も盛んな時代でしたが、CAは定番動画にある意味隔離されてたためニコニコ全体的で見ればそこまでCAは盛んではなかったかもしれません。同じ動画に入り浸って様々に新しい表現を試していたため、表現や技術が日進月歩で進化してきました。ただ(個人的には残念ですが)CAが一般コメとある種別物として扱われるようになったのもこの流れからだったのかもしれません。
何はともあれCA製作者同士の交流も盛んになり、いい流れでカラーコードの実装という表現の幅を広げる実装が行われました。

スパン2 カラーコード導入~原宿プレーヤー(16:9登場)まで

2008年11月にプレミアムのみに試験実装され、2009年4月に一般公開されたニコニコプレーヤーver3(新プレーヤー)に合わせてHTMLカラーコードが使用できるようになりました。
ジャンル毎(絵・装飾・歌詞)にそれぞれ興隆の波があるんですが、この時代がおそらくどのジャンルもそれなりに盛り上がっていたCAの最盛期でした。CA祭も行われ、CA製作者同士の交流が活発になったことで情報交換や意見交換も活発に行われるようになったことでCA界全体が活気にあふれていました。
また、環境が安定していた(CAがやりやすい環境だった)こともその要因の一つかと思います。
この時代にSA(スクリプトアート)も大きく発展し、CA・SAともに特別な時代となります。

【カラーコード】

それまでニコニコ側で用意された17色(pink2,black2,cyan2は新プレから)しか選ぶことをできませんが、カラーコードの実装により16,777,216色とほぼ無制限に好きな色を選ぶことができるよう
になりました。
これによりもちろん色の表現の幅が広がりましたが、CA独特のカラーコードの使い方としては、ハイライト消失の黒色を使った表現が開発利用されていくことになります。
通常のコマンドblack(#000000)では影が出てしまいますが、カラーコードの#000001や#010101を使うとその影が消えます。これをコメントマスクや動画の黒い部分に重ねて表示するというように利用されます。

【ニコニコプレーヤーver.3(新プレーヤー)】

不安定なことに定評があるプレーヤー。
2009年4月に一般公開されましたが、2010年4月まで旧プレがサービスを続けていたという最近でいう原宿・ZEROorQという二重のプレーヤー状況がこの時期にもありました。
旧プレ推奨する流れもあり、基本的にCAは旧プレ新プレどちらにも対応するというのが主流でした。といっても異なる点はカラーコードだけだったので、コマンドにカラーコードと通常のカラーコマンドを入れるだけで対応ができました。
旧プレと比べるとコメント周りがあまりにもお粗末だったため、CA投下はもっぱら旧プレで行われ、視聴のときに新プレに戻すという具合でした。
旧プレ廃止3か月後にニコニコプレーヤーver.4(原宿プレーヤー)が登場するので、この時代のメインプレーヤーは旧プレで、新プレとは短いつきあいだったりします。

【windows7】

環境の激変を突如おこした刺客。
XPやVistaとの相違点は、以前と同様に
・フォント変化ルールが違う
・特殊記号の挙動が異なる
・主要空白文字のU+2000系の挙動が異なる
の3点なんですが、今回は【主要空白文字のU+2000系の挙動が異なる】点が大きな問題となりました。逆にフォント変化ルールはvistaと同じだったため大きな問題にならなかったのは幸いでした。
それまでU+2001は明朝・ゴシック時どちらでも同じ幅だったためU+00A0と同様に万能スペーサーとして広く使われてきました。しかしwin7では明朝時に幅が縮んでしまうため、明朝時に2001は使えないというように万能スペーサーの座から一癖あるスペーサーに落第することになります。
これまでは大部分を占める空白が明朝・ゴシックどちらでも等幅であったため、フォント化けによるつれ回しをそこまで意識しなくても大丈夫でしたが、U+2001の挙動変化によって、各コメント毎にフォントを確定してつれ回しを予防することが非常に重要になりました。
そのため前述のカラーコードのハイライト消失黒を利用してフォント化け文字を隠したり、二重リサイズやあとで紹介するfullコマンドによって画面外にフォント化け文字を飛ばす技術が重要になってきます。
また、win7では特殊記号が単体でも表示できる(XP,Vistaでは全角文字を隣接しないと□豆腐化)ようになったのもCA的には悩みの種となります。

win7の登場で要なのは明朝でU+2001(U+2003)を使ってたCAはことごとく崩れてしまったことです。これにより、今までの環境ではきちんと表示できていたCAが将来の環境変化によって崩れてしまうという事実が公のものになりました。CAに対する考えに一石投じたのは間違いないでしょう。

【エディタ編集】

CAの制作環境を一新しました。
通常、投コメ編集ではエディタ編集をすると改行が無視されてしまうため、CAの制作ではエディタは使わないというのが普通でした。
しかし、改行リプレイス【/replace(target:’owner’,src:’(対象文字)’,dest:”\r”)】の発見によって、CA制作でもエディタ利用ができるようになりました。
これにより、時間調整・レイヤー操作・置換・バックアップなどなどが簡単にできるようになり非常にCAがつくりやすくなりました。特に大量のコメント数や何枚もレイヤーを重ねるようなCAにはなくてはならない存在になると同時に、複雑だったり手間がかかったりしてしまうCAも多くつくられるようになりました。
エディタ編集が利用されるようになる前と後では時代が完全に違うといってもいいかもしれません。

win7の登場や旧プレ廃止で少しブレーキがかかってしまいましたが、興隆を極めたCAはその勢いをまだまだ保っていました。サービス開始からの様々な人の手によってここにめでたくCAやコメント動画という一つのジャンルが確立されたことになります。
しかし残念なことに原宿プレーヤー登場から徐々に雲行きが怪しくなっていきますが…。

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今回のブロマガはここまでです。次回に原宿プレーヤー登場から現在までを書く予定です。今回のブロマガがCA躍進の軌跡だとすると、次回はCA衰退への道筋と対照的なものとなってしまいますが・・・
私見が多分に含まれていますが、読み物として少しでもおもしろいと思っていただければ幸いです。
長々とお付き合いありがとうございました。もしよければ次回もよろしくお願いします。

ではでは~

 

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