コメントを「流すこと」と「残すこと」

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ニコるの寿命延長の関係で話題に上がることの多くなった、コメントの流れに関する個人的な意見をつらつらと書きます。

 

コメントを残す文化はサービス開始当初からある

「おもしろいコメントを残そう」という動きはごく最近始まったわけではなく、サービス開始当初からあります。

テニミュなんかの空耳歌詞はその代表例で、昔からニコニコではおもしろいコメントはみんなで保守をすることで残していこうという動きが普遍的にありました。

「コメントはどんどん流れていく方がいい」という考えも主流でしたが、その一方で「全て流し去るのではなくて、おもしろいコメントは受け継いでいこう」という考えも同時に存在していたわけです。

そもそも、文化というのは過去を踏襲し発展しなければ成り立ちません。
「流すこと」と「残すこと」はコメント文化や動画の雰囲気を形成するうえでの両輪でした。

 

CAは他のコメントと同じではない

おもしろいコメントを受け継いでいくための保守は、基本的に不特定多数のユーザーによって行われてきました。
これは、ニコニコのコメントが動画に対する共有物であるという性質を持ち合わせていたからです。

しかしその一方で、同じコメントであるCAは共有物ではなく、特定個人(製作者)の所有物であるという性質を強く持っています。

これは伝統的に、CA製作者はコピペ等を強く禁止し、糾弾してきたためです。
その背景には荒らしへの対策なんかのやむを得ないような事情もあったわけですが、事実として、CA製作者側がCAを他のコメントと区別し、保守を制限してきました。

 

個人の所有物であるCAは「保持」することしかできない

共有物であるコメントと異なり、CAは特定個人にしか扱うことができないため空耳歌詞のように保守を行うことができません。

このため、大勢のユーザーはCAを残そうと思ったときには保持をする、つまりコメントを流さないという選択肢しかありません。

自分たちは所有権を主張して保守を制限してきたのに、その一方で他のコメントと同一に扱われることを求めるのは非常に虫がいい話です。

 

「過去ログを見ればいい」は解決策にならない

「たとえ流れたとしてもニコニコには過去ログやマイメモリーの機能があるのだからそれを使えばいい」というのはピントが少しずれています。

過去ログを使えば確かに見ることは可能ですが、体験の質は大きく変わってしまいます。
生コメと過去ログは、生放送と録画のようなもので、自分が介入できる生きたコメント群というのはそれだけで価値がものすごく高いものです。

また、動画を初めて視聴する際に、あえて過去ログを使うユーザーはいないでしょう。
一度しかない、初見の体験の価値を向上するために、生コメを重視するというのは至極当然のことと思います。

 

現在は「保守」よりも「保持」の方が優勢となっている

コメント不足が叫ばれる昨今では、「保持」をする流れが強まっています。

これはコメントを流すメリットが薄れてきたことが大きな要因だと思われます。
昔のようにコメントが多くて、何十回もコメントが回転し、見るたびにコメントが変わるような状況であれば、新陳代謝を促して新たなコメントを呼び込むメリットが大いにありました。
しかし今のように、ランキングの動画ですら2,3回しかコメントが回らない状況でだとそのメリットが大きく低下してしまいます。

普段からニコニコを使ってるユーザーであれば、最近のニコニコでは動画投稿初期の伸びが止まれば、それからコメントが入れ替わることはほとんどないということを体感的にわかっています。
どうせ今後コメントが回らないのであれば、伸びて勢いがある間に、良いと思われるタイミングで止めてしまいたいというのは一つの考えだと思います。

 

そして意図的に協力すれば「保持」をすることが現実的に可能な状況になっていることも大きいです。
流れを止めようといくら頑張っても物量で押し流されていた昔とは異なり、現在は「マナー」を布教してユーザー間で協力すれば流れを止めることも不可能ではありません。

参加することで残す「保守」の時代は去り、参加しないことで残す「保持」の時代を迎えつつあります。

 

「保持」の流れはCA的には非常に困る

しかし、このような保持の流れはCAの存在そのものを脅かすほどの厄介なものです。

CAが投下されたことによってコメントの投下が抑制され、本来投下されるはずだった感想コメント等がなくなってしまうのはCA製作者にとって本意ではありません。
そして特に動画投稿者にとってはその状況は歓迎できるものではないでしょう。
保持の流れが極まってしまった場合、CAは他のコメントを奪う厄介者とみなされる恐れもあります。

 

また、仕様変更によってCAの表示が大きく崩れてしまう可能性もあるため、長期間残ってしまうことはCAにとっては喜ばしいことではありません。
現在はコメント表示の安定性が高まったおかげで、昔に比べるとかなりリスクは下がっていますが、大きな懸念事項であることは間違いありません。

 

ニコるは「保持」の流れを打開するポテンシャルがある

保守を制限しているCA側の事情として、「残したい」という要望に対しては適切な解決策を持ち合わせていませんでした。
しかし、ニコるの寿命延長機能の登場によって、「残したい場合はニコってください」という代替案を示すことができるようになりました。
寿命延長をキャンセルする「ca」コマンドがあるので、実態としてはただの免罪符になってしまう恐れもありますが・・・

 

もちろん、コメントが大量についてガンガンコメントが回転する環境が理想かもしれませんが、現実的に今のニコニコでは不可能です。
参加しないことで残す「保持」よりも、ユーザーの投票によって残すコメントを決めるニコるの方が健全であると思います。
寿命延長機能はひとつの落としどころであり、検討する価値がある機能だと思います。

 

理想的な「流す」と「残す」の関係についての議論を

多くのユーザーは「コメントは適度に入れ替わってほしいけれど、おもしろいコメントは受け継がれていてほしい」と感じていると思います。
保守を制限してきたこともあって、CA製作者は残すことについて否定的な見方をする場合が多いです。
組曲「ニコニコ動画」のようにコメントを流すことで文化を形成してきた動画もあれば、コメントを残すことで発展した動画が存在することは紛れもない事実です。

CA側の事情を丁寧に説明しても、「残したい」という希望に応えることができなければ広く理解を得ることは難しいと思います。
「残したい」という想いに今一歩歩み寄って、意見交換が行われればと思います。

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